お米が収穫されるまで
種を塩水で洗う 3月下旬~4月中旬
お米を作る最初の工程がまずはいい種を選ぶことから始まります。
中身が詰まった重い種ほど、病気にかかりにくく、力強い芽や根が生えます。重くて良い種を見分けるためには塩水を使います。
大きめの容器に水を入れて、比重計を使いながら塩をとかしていきます。比重計がない場合は、卵が水面に浮く程度の濃さにします。
この塩水に種を入れて沈んだ種だけを選び、塩水を良く洗い流します。
種子の消毒 3月下旬
種は発芽する前に病気になることもあります。 いもち病やひょろひょろと苗が伸びてしまう病気の病原菌が付きます。これらの病気は、薬を使って消毒していくのですが、最近では薬を使わずに、60℃のお湯に十数分ほど浸す温湯消毒(おんとうしょうどく)も普及してきました。
浸種と催芽 4月中旬
発芽には十分な水分が必要です。 発芽の時期をそろえるために、種に水を吸収させる浸種をします。種の重さがだいたい 25%くらい増えるまで水を含ませます。また、水に浸す日数は水の温度に関係しており、毎日の平均水温を足して120度になる日数が目安です。
これを、積算水温(せきさんすいおん)といいます。十分に水分を吸わせたら、30〜32度くらいの温度を 20時間くらい加えて、1mmくらいの長さまでいっせいに発芽させます。
田植えをしやすくし、成長の管理を効率的に行うために、発芽をそろえるのです。
土づくり 10月上旬~4月下旬
稲を育てるのに重要なのが土です。 田んぼの土の性質を調べ、稲づくりに不足している肥料分などを改善することを「土づくり」といいます。地力の高い土になるように土づくりを行います。
地力とは、作物に必要な「水と肥料分と酸素」を、必要な時に必要なだけ与えることができ、微生物の働きで有害な病原菌が増えるのを防ぎ、健康な作物を育ててくれる土の力のことです。その地力を高めるのは、堆きゅう肥(たいきゅうひ)や稲わらなどの有機物です。
有機物は土の中で微生物によって分解され、窒素やカリなどの肥料分になるだけでなく、土の中の空気の通りや水はけ、水持ちを良くし、土の温度を高めたり微生物の働きを活発にする作用もあります。
また、稲が最も多く必要とする窒素、リン酸、カリは、肥料の3要素と呼ばれているとても大切な肥料分です。加えて、病気に強く、茎を丈夫にするケイ酸も多く含まれている必要があります。さらに、ある程度水はけが良く、空気が十分に含まれていて根が生長しやすく、肥料分や水分を吸収しやすいことも重要です。
稲を刈り取って玄米、出荷されるまで
お米がスーパーやお米屋さんなどに出荷されるまでは実に長い工程をかけていくわけですが、田植えをして稲を刈り取るまでに約半年を要します。
土や水の管理から肥料の散布、温度管理まで非常に緻密な作業の積み重ねで美味しいお米ができていくのです。
山形県の庄内地方には収穫したお米を保管できる「カントリーエレベーター」という貯蔵施設があります。
大切に保管されたお米は、注文に応じて山形県内や東京など、全国の消費地に出荷されます。
各倉庫から玄米の状態で、または、籾で保管されていた米は注文ごとに玄米にされて、トラックや JRのコンテナなどで運ばれていきます。最近は、カントリーエレベーターの増加にともない、1トン入りのフレキシブル・コンテナと呼ばれる樹脂製の大きな袋があります。
これはフォークリフトで積み下ろしがしやすい袋で近年、普及しています。 このフレコンでの出荷は、全体の4割を超えており、輸送コストを安くし、大型の精米工場へも対応できるようになりました。